2016年06月22日

海外カード引き出し限度額下げ 銀行が対策

コンビニエンスストアの現金自動受払機(ATM)で偽造クレジットカードを使って現金が不正に引き出された事件を巡り、金融機関が海外カードで引き出せる現金の限度額を引き下げるなどの対応に追われている。ATMの海外カード対応は政府が訪日外国人拡大のため成長戦略に盛り込んだもの。設置計画を進めていた銀行は利便性と不正防止を両立させる難しい運営を迫られている。

今回狙われたのは海外で発行されたクレジットカードで現金を引き出せるATM。ゆうちょ銀は全国約2万7000台、セブン銀は約2万2000台で導入しているが、ほかの銀行は導入を本格化する矢先だった。


事件を受け、セブン銀とゆうちょ銀は海外カードによる引き出し限度額を1回当たり10万円から5万円に引き下げた。メガバンクで唯一、海外カード対応ATMの導入を始めていたみずほ銀行も順次、限度額を10万円から5万円に引き下げている。


事件の影響は海外カード対応ATMの導入計画にも波及している。政府は2020年に訪日外国人4000万人の目標を掲げ、3メガバンクに対し18年までに約3000台の設置を要請。これまで投資コストが高いことから慎重だったメガバンクなどは訪日外国人の利便性向上に向け、相次いで導入を決めていた。

3メガバンクは18年ごろまでに計3000台を設置するとの目標は変更しない方針だが「より慎重な対策が必要。導入ペースが鈍るのは避けられない」(メガバンク幹部)という。今年度中に導入開始予定の三菱東京UFJ銀行は「改めて対応を検討する」。9月に設置を始める予定の三井住友銀行も対応を検討中。りそな銀行は今月導入予定だったが先送りした。

一方、ATMの利用手数料が収益の柱であるセブン銀行は、今後も海外カードの利用を拡大したい考え。先月には空港や駅などの施設で海外カード対応ATMを拡大する戦略を発表。今年度は海外カードの利用件数を前年度比3割増の830万件とする計画だ。


毎日新聞 2016年6月21日


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